Mirabell Nicklas ミラベル・ニコラス (ドイツ) 2019年8月滞在
ミラベル・ニコラスは人生の苦労や奮闘をテーマとした作品を制作しています。これまで世界のあちこちで居住してきた経験から、ひどい出来事や日々起こる生存競争を見てきました。こうした経験から心理的障害、精神疾患、情緒不安定に関心を持ちはじめ、自身の作品を見る人々に一人ではないことを知ってもらい、これらの事柄を理解するきっかけの窓として作品を確立していきたいと考えています。
主に水彩、油彩、黒インクペンを使用し、水を加えたときの水彩の効果や表現が気に入っています。穏やかな水の流れが紙に吸収され、水の中に飲み込まれていきます。細部にも表現にこだわりを持つので、細かな線が描くことのできるゼロポイントの絵筆がここ数年で作家のお気に入りの筆となりました。
スタジオクラでの滞在制作では、人々が夜に見る夢に焦点を当てた作品制作を行います。夢は人々の心への玄関口であり、分析することはできるけれども真に理解することは難しいものです。それは謎に包まれていて幻想であり、最も気になる不安や強く望む願い、幸せな思い出など私たちが追体験したくとも現状ではできない事柄に探求していきます。